「大人の遠足」-サントリー白州蒸溜所編- その2

さて、前回のエントリーの続き、工場見学編&テイスティング編です。

工場見学へ出発

お腹もいっぱいになって、原酒製造工程の見学に出発です。工場に一歩足を踏み入れると、もう麦の香ばしい香りが漂ってきます。

原酒は仕込→発酵→蒸溜→貯蔵というステップを経て作られます。仕込と発酵はビールやワイン、日本酒なんかと同じですね。酵母で糖分をアルコールにしてあげるわけです。

まずは仕込。あの「南アルプスの天然水」と麦芽が混ぜられて、麦汁となります。

発酵につかう木桶

桶の中はぶくぶく…

白州では発酵に木桶を使っています。山崎ではステンレスのものも使うそうですが、個人的には木桶の方が趣があっていいなぁと思います。木桶はかなり深くて、覗き込むと泡がぶくぶくと。発酵3日目なので、これでも落ち着いてるそうで。

ずらっと並ぶポットスチル

そしていよいよ蒸溜。理科の実験でやったあれです。三角フラスコみたいなポットスチルで麦汁を直火炊きしています。一番手前のポットスチルではまさに蒸溜の真っ最中。窓から沸騰している様子がよく見えました。

蒸溜は2回行うのですが、それぞれ使うポットスチルが違います。基本は向かい合わせで使うそうですが、もちろん組み合わせを変えることも。どれを使うかで味わいが変わってくるというのだから、奥が深いですなぁ。ちなみに7%だった麦汁は蒸溜を繰り返すことで20%→70%となります。この段階ではまだ無色透明の液体。この段階だといかにもスピリッツって感じですね。ちょっと味を見てみたいかも。

蒸溜が終わったら加水して樽に詰められるのですが、次はその樽に関する行程、「リチャー」を見学。30〜40年使った樽は、熟成する力が落ちてしまっているので、内側をこんがり焼くことでそれを復活させてあげるんです。

始めはアルコールが燃える

様子を見ながら、回転させる

ふちに水をかけることも

火をつけると、まずは残っているアルコール分が燃えるので青い炎。だんだん樽の内側が燃えるに従って、炎の色が赤くなっていきます。

内側の様子を見ながら、樽をくるくると回転させて全体をむらなく焼いていきます。台車をひっくり返したような、作業台が面白いです。ふちが痛まないように、たまに水をかけてやります。そしてクライマックス。

柄杓が一閃!

見事消火

職人さんが柄杓たった一杯の水で消火。小気味よい音とともに、香ばしい香りが辺りに漂います。これはぜひとも体験してほしいところ。

整然と並ぶ樽たち

最後は貯蔵庫へ。普段は撮影禁止なのですが、特別に許可していただきました。

入った瞬間にわかるウイスキーの香り。そしてひんやりとした空気が辺りを包み込んでいます。若い者から、熟成が進んだものまで、様々な年代の樽が森の空気を呼吸しながら、じっと眠りについています。

この貯蔵庫は自然の温度のまま。樽の置かれた場所によって、同じ年月を過ごしていても味に違いが出てくるそう。それによりバリエーションを持たせているのだそうです。

オーナーズカスク

貯蔵庫の奥にはまるまる一樽所有できる、オーナーズカスクの部屋。こちらも特別に見学させていただきました。

世界に一つだけの味を持つ、樽をまるまる所有できるなんて、贅沢ですね。

いよいよテイスティング

さて、いよいよテイスティング。その前にモルトウイスキーについての基礎知識を学びます。

実は今までシングルモルトウイスキーとピュアモルトウイスキーの違いも全く知らなかったわけで… 一つの蒸溜所で作られた原酒のみで作られたウイスキーをシングルモルトというそうです。正直逆だと思ってました。

今回テイスティングした4本

今回テイスティングしたのは山崎、白州、マッカラン、ボウモアの4本。シングルモルトは一つの蒸溜所で作られた原酒のみを使うため、その蒸溜所の立地や気象、その土地の水といった特徴が色濃く出るとか。だからこそ蒸溜所の名前を冠しているわけです。セミナーでも蒸溜所の特徴がいくつかあげられましたが、一番面白かったのはボウモア蒸溜所。海抜0メートルで貯蔵って… 満潮のときには塩水をかぶるときもあるとか。確かに潮の香りがしたかも…

それぞれ比べながら味わってみると、確かに香りも味も全く違うんですよ。白州はすっきりした感じで、山崎は少し甘め、マッカランもどちらかというと甘めで、ボウモアは薬っぽい感じ。個人的には白州が飲みやすくていいと思ったけれど、ボウモアの個性的な感じも捨てがたいなぁと。

次にそれぞれに合うおつまみと一緒に味わってみます。参加前のイメージだと、チョコレートとかかなぁと思っていたのですが、白州にはおかき、山崎には和菓子と予想を見事に裏切られました。どれもお互いを引き立てていて、単独で味わったときとはまた違う印象に。

そのときも思ったんだけど、どうも表現が難しいというか、語彙が少ないというか(^^; 説明してくださったサントリーの方やソムリエってすごいなぁとあらためて思うのですよ。

究極の水割り♪

最後にちょっと実習として、“究極の水割り”と“すごいハイボール”の作り方。今回は”究極の水割り”にしてみました。ポイントは

  • グラスには氷をたっぷり
  • ウイスキーを注いだら13回転半
  • 水を足したら3回転半

の3つ。これ、試験に出ますよっ! ちょっと薄めに作ってしまいましたが、おつまみなしで美味しく飲めました。今度はうちで試してみよう。

今回の体験セミナー、本当にウイスキーに対する認識とか印象がガラッと変わりました。特に食事に合わせても、美味しいというのが一番の驚きでしたね。一人でグラスを傾けるってイメージしかなかったものですから。

出発までの時間は博物館を見学したり、お土産を買ったりと思い思いに過ごしました。もちろんほろ酔い気分で。

展望台からの八ヶ岳連峰

大人な雰囲気のバー

右はゲストハウス内のバーにて、白州25年を試飲するの図。こんな雰囲気が似合う人になりたいもんだ。

そして一行は帰途に着くのでした。例によってこれで解散となるわけではなく、実践編が待っているわけで。というわけでもうちょっと続きます。

# 今回の様子はBAR-NAVI公式ブログにもアップされています。あわせてどうぞ。


04. 3月 2008 by Castaway。
Categories: Food, Photo, Travel | Tags: , , , , | 8 comments

Comments (8)

  1. 工程途中の液体の味見ってしてみたいですよね〜〜
    わたしとしては麦汁と7%のビールっぽいものも
    舐めてみたいです(≧∇≦)

  2. リチャーのところ上手く撮れてていいな〜。
    それに樽の貯蔵庫の写真。
    下から上のアングルしか頭に無かったので、
    下の段の樽が見えてるこのアングルは新鮮だ〜〜。
    気付かなかった〜。orz

  3. 最後の写真、真ん中の金髪はどう見てもBARの雰囲気が似合っていない感じが・・・(笑
    天狗とか和民の方が・・・でも白州25年美味かったな〜。

  4. >ぷぅ さん
    工程を経ることでどんな風に味が変わっていくかっていうのも面白そうですよね。
    多分70%はかなりきついんでしょうねぇ。その前の麦汁と7%のは甘そうな気がします。

    >ふにふに さん
    リチャーの写真は、縮小するとちょっとシャープになるマジックです(^^;
    実際はかなりズームしてたので、プレたりボケたりしてますよ。

    貯蔵庫は向かい方の方がクレーンがあったりで、絵的に面白かったかも。でも、奥行きがあっていいでしょ?

    >ローリー さん
    いやいや、きっと背中が何かを語ってるはずです。
    白州25年も美味しかったですね。今度は「時が育む〜」にも参加しますか!?

  5. ああ!!ゲストハウスのバーで飲んだんですね!
    ドコだったんだろうって思ってたんですよ〜
    私も行きたかった!!(笑)
    酒ものは誘って下さい(爆)

  6. >Ekko さん
    自分もみなさんどこなのかわからずに、ちょっとうろうろしてしまいました。
    >酒ものは誘って下さい(爆)
    いや、ホントもうしわけないです(^^;

  7. わ〜、バーの写真だ。
    俺の背中、全然人生語れてない、
    まだまだ修行が足りませんね(笑)。

  8. >水島 さん
    いい雰囲気のバーでしたよね。
    自分もまだまだ修行が足りんです。いろんな意味で(^^;