観劇日記:『リチャード三世』
土曜日に『リチャード三世』を観に行ってきました。
あれこれとお芝居を観てきましたけど、実はシェイクスピアを観るのは初めてだったりします。映画で『ロミオとジュリエット』とか、あとは新感線でシェイクスピアを下敷きにした『メタル マクベス』とか『朧の森に棲む鬼』とか、『天保十二年のシェイクスピア』で触れたことはあったんですけれどね。そんなわけですので、そんなことも知らんのか的な感想になるかもしれないのであしからず。
率直なところを言えば、1幕だけで2時間、あわせて3時間以上の長丁場なのに、全く時間を感じさせないくらい面白かったですわ。ストーリーはもちろんなんだけど、セリフのパワーがあるというか。朗々とした独白に、言葉の応酬があったり。そのやりとりも相手のセリフを引き取ってそのまま相手に投げ返すとか、皮肉を込めていったりとか。
でもって、演出の方はさすがのいのうえ演出といった感じで、ステージ上のモニターを使ってモノローグの字幕を出したり、ここぞという演説の場面では生中継しちゃったり、ワイドショー風になったり、ニュース速報が流れたり。リッチモンド伯が反旗を翻す場面ではオバマのあの文句が出てきたりね。何だか現代のネットの犯行予告とか、それこそ劇場型政治みたいな感じで。
ネットといえば、冒頭のリチャードのモノローグがICレコーダーに向かってつぶやき、何やらモバイルに打ち込んでるので、いかにもステレオタイプなネットの犯行者。モノローグ後半は一言で言えば「ブサメンで非モテのオレが敵役になってやる」みたいな感じですな。こう書くとすごく薄っぺらくなっちゃいますが…
2幕は王座に上り詰めたリチャードが転落していくんですが、たたみかけるような展開は新感線の公演と同じで、最後の戦闘シーンは圧倒的でした~ 追い詰められたリチャードの最期が、『朧の森に棲む鬼』を思い出させるシーンでしたね。
素晴らしかったのがヨーク公爵夫人、エリザベス、マーガレットのお三方。それにしても、マーガレットは呪いが成就することで、エリザベスは最終的に勝ち組にいる点で救われた感というか達成感があるかもしれないけど、ヨーク公爵夫人は全く救いが無いよなぁと。
山本亨がアカドクロの時に続いて、つかこうへいの物まねをしてましたね。知ってるとにやりとしてしまいます。