観劇日記:『寿歌』

休出で定時過ぎくらいの時間まで仕事した後、久しぶりに新国立劇場へ。小劇場は初めてな気がします。そういえば、じゅんさんは言うに及ばず、演出の千葉さん含めて、新感線に出演されたことのある方ばかりですね。

核戦争ですべてが廃墟と化した街に、リヤカーを引いた旅芸人のゲサクとキョウコがやって来る・・・。
二人の頭上には、まばゆい光を放ちながら核ミサイルが飛び交い、追いかけてくる低い破裂音が世界の終わりを告げていく・・・。
そこに、どこからともなく、不思議な芸をあやつるナゾの男・ヤスオが現れた。
出会った三人は、あれやこれやの"エエカゲン"な会話を繰り広げながら、焼き尽くされた滅びの荒野を共に旅することになるのだが・・・・。

SIS company inc. Web / produce / シス・カンパニー公演

阪神淡路の後もこのお芝居が演じられることが増えたそうですが、今回も増えているそうです。まして、原発の事故もありましたから。この公演は地震前から決まっていたそうですが、なんというタイミングなのかな、と思わずにはいられません。

全編関西弁で演じられるこのお芝居、話すスピードもかなりのもので、所々聞き取れなかったことも。あまりの速さに堤さんも噛んでしまったくらい(笑

正直なところ、感想としては「ようわからん!」という感じというか、わからないというよりは、それが意味するところを考え出すと止まらないというか。一緒に観た人といくらでも話のネタがつきないなじゃないか、なんて思います。

ゲサクの台詞の、ヤスオは耶蘇ではないか、というくだり、物を増やす「物品引き寄せの術」はたしかにそれっぽいというか、新約聖書にもそういったエピソードがありますね。ただ、ヤスオとキョウコの二人との出会いのシーンからして、パロディだというのはパンフを読むまで気がつかなかったなぁ。

ゲサクの話すウサギの話のように、それぞれが出来ることは外からみると所詮その程度のことかもしれないけれど、それでも前に進んでいくんだよという、希望のあるメッセージのように感じました。まぁ、作者曰く「ええかげん」なお話らしいので、そういう想いはなかったのかもしれませんが。でも、こう受け取れるからこそ、こういう時に上演依頼が増えるのかもしれませんね。


22. 1月 2012 by Castaway。
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