観劇日記:『エッグ』

リニューアルした東京芸術劇場へ、先日初めて行ってきました。あの特徴的な、空間を切り裂く長いエスカレータは姿を消してしまったのが、ちょっと残念でしたね。でも、あれ実際乗ってると怖いんですけれどね。プレイハウスの方は、一歩足を踏み入れてビックリするくらいきれいになって、見やすくなっていたように感じました。

さて、『エッグ』、スポーツの話でなぜエッグ?、というか、エッグってどんなスポーツなんだよ!とずーっとクエスチョンマークだったのが、後半の展開にえらくビックリ。ようやく前半で出てきたキーワードが繋がってきて、スポーツの話からとんでもなく遠いところまで飛ばされてしまいました。

今回は劇中歌として、椎名林檎が参加していて、これがまたよかったですよ。『What did U say?』なんて、野田秀樹らしい、韻を踏んだ歌詞で、メロディも楽しくて。深津絵里の歌声も透明感があって最高!色んなバージョンのある『別れ』もいいですが、インスト好きな自分としては、『望遠鏡の外の景色』がお気に入り。今まで食わず嫌い気味だった椎名林檎ですが、今回のを聴いて俄然興味が出てきた感じがします。

いつものように、ネタバレ注意で。

寺山修司の遺稿を題材に、という設定で始まる舞台、監督と芸術監督のやりとりや、スポーツの場面が行ったり来たりしながらストーリーが進んで行って、観ているこっちが追いつかないくらいに展開が早かったです。エッグというスポーツ、途中で白衣の天使がやってたスポーツということで、みんなが看護師の格好になって、ナースキャップまでかぶっちゃう。後半でもエピソードがエピソードだけに、ナースの格好がなるほど、となるわけですが、スポーツの話をやってるときはわけわからなかったですね。

後半で、いきなり満州の731部隊に話がぶっ飛んで、そこまで格好良かった仲村トオル演じる粒来が、突如証拠隠滅のために自ら消えたことになったりと、そこまでのスポ根的な雰囲気から一転して重たいテーマに。最近のNODA・MAPは重たいテーマが続きますね。背番号で呼ばれると、個性が消えてくとか、透明なカーテンが引かれた『密室』で実験する様は、アウシュビッツのようでもあり、思わず目を背けたくなりましたが。

オリンピックに出場!とか、中国に勝利!とか、劇中のあちこちで熱狂が描かれてて、熱狂の度が過ぎるとコントロール不能になるというか、熱狂を冷まさないようにねつ造とか成果を誇大広告したりとか、そんなことを描いていたように思えます。熱狂という点では『贋作・罪と罰』を観たときもおもったし、今回のパンフレットにも内田樹との対談でも出てましたが、やっぱり全共闘がキーワードというか、根っこにあるんだろうなと。

なんかとりとめの無い感じになってしまいましたが、観てよかったと思える作品でした。


04. 11月 2012 by Castaway。
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